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無垢なる悪趣味/常識の転覆〜現代美術家・大塚聡序論(2)〜
JUGEMテーマ:アート・デザイン
 
「ドゥーティ君」はサービス精神に溢れた親しみやすいチャーミングな作品でした。
しかし、「童貞宇宙人」は大塚聡入門編、あくまでウォーミングアップ的位置付けの
作品です。今回以降は悪趣味作家の本領発揮な「取り扱い注意系作品」を鑑賞してい
こうと思います。

今回ご紹介するのは「ソンなところでアンなことを!野外でイチャつくバカップル」
をフィーチャーした作品です。

*「目撃」 1991〜1994年


ウサギの彼氏が彼女と野外(おそらく公園)でイチャイチャしています。そして、
出歯亀オオカミ君がその現場を文字通り「目撃」しています。一見、ドゥーティ君と
同様のファングロ路線のお茶目作品にも思えますが、「目撃」はもう一歩踏み込んだ
解釈の可能性を秘めた作品であるという点で、「ドゥーティ君」とは一線を
画しています。

絵を描くという行為(それよりももっと広い意味で何かを表現するという行為)
は、作者の内面を白日のもとにさらけ出してしまうという部分があります。
それは必ずしも美しい世界ばかりではなく、時には他人には知られたく
なかった暗い情念を自分自身の手で暴きたててしまうような結果になることも
あるでしょう。「表現」を鑑賞するということはキャンバスの上に剥き出しにされた
作家の内臓を赤の他人である鑑賞者が無言で見つめ、批評するということでもあり、
考えようによっては傲慢のようにも、なにやらエロティックな色彩を帯びた行為
のようにも思えてきます。

さて、「目撃」という作品の中に出歯亀は何人いるでしょうか?
「オオカミ君一人だけ」というのは不正解で、鑑賞者である「(無数の)私たち」
もまた、オオカミ君同様にカップルの愛の現場を「目撃」しているのです。

「目撃」に描かれている行為は木々の間から覗いている「第三者の視点の存在」とい
う一点を除けば、無数の人々によって幾度となく繰り返されてきた日常的な行為であり、
エロは視られるからエロいのであって「視られること」よりも「視ること」
にエロティシズムの本質があるということを暗示しているように思えます。

「衆人環視の中で濡れ場を演じるカップル」と「その状況を描いた画家」、
そして「描かれた状況」を覗いている私たちでは、誰が最も「悪趣味」だと言えるのか?

鑑賞者に「覗き」という行為を疑似体験させることで、「グロテスク」と「ファンシー」の
融合という表層的な意味を超えて、「目撃」という作品は「本当にエロいのは誰だ」という
問いかけを発しているのです。

公然とイチャつくウサギの恋人たちは確かにバカップルなのでしょうが、「原始的
欲望に忠実な無垢な存在」と考えることも可能かもしれません。「覗かれるカップルが
ウサギで覗いている出歯亀がオオカミ」という構図は、見た目の面白さだけでなく、
「多くの場合、ウサギは同情と共感を集める存在である」ということも手伝って、
「悪趣味な良識」と「無垢なる悪趣味」のせめぎ合い、すなわち「常識の転覆」
を描くという試みを成功させています。

<「視ることのエロス」を表現した珠玉の2作品>

まずはこちら、「鑑賞者」の頭の中にエロの本質があるということをエレガントに
描いた作品

*「理不尽」 1993年


続いては、「隠すとエロい」という真実の暴露

*「ドリームクラッシャー」 1994年


人間とは、「倫」の下に隠されたものをついつい想像してしまう
生き物」
ですね!

次回は「無垢なる悪趣味」の預言者・大塚聡の「オブセッショナルな偏執の世界」を
観ていきたいと思います。

大塚聡・公式ブログ
妄想印象派 あるいは、東京藝術病院:多摩美術病院

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Comment
どうも、大塚聰です。

よく、作者本人はそこまで深く考えて作ったわけでも無いのに、
よくぞここまで深く考察してくれた!!と思わせる評論が多々あると思いますが、
ブラッディマリーさんの考察も、まさしくその様に感じました。

なるほど、私は、無意識的にここまでやっていたんですね。
ありがとうございました。
2009/09/10 4:50 AM
>よくぞここまで深く考察してくれた!!と思わせる評論が多々あると思いますが、
ブラッディマリーさんの考察も、まさしくその様に感じました。

・・・それは大塚さんの作品にそれだけの「底力」があるからですよ。

こうして文章にしてみると、頭の中で考えていたことの1/3も表現できていない気がします。せめて半分くらいは形にできるように、これからも精進したいと思っています。
ブラッディマリー
2009/09/10 6:48 PM
よくぞここまで深く考察できるものだと恐れ入りました。
私にはこういう深読みができないからそういうのに出会うと本当に感服いたします。
「本当にエロいのは誰だ」までの解説はマルセルデュシャンの遺作でも似たような解説を読んだこともありますが、その後は本当に圧巻です。
深いなあ。
ここまで感じ取れるブラッディマリーが羨ましいです。
omi
2009/09/11 8:07 AM
人様の描いた絵を好き勝手にイジっているので、「この絵はそういう意図で書いたのではありません!」というお叱りがあるかな?と思っていたのですが、好意的なコメントが多くて感謝感激です。

>omiさん
このエントリの前半部分は、誰かが同じようなことを考えているだろうな〜と思いながら書いていたのですが、マルセルデュシャンの遺作(と、その解説)がものすごく見てみたくなりました。

「隠すとエロい」のくだりですが、実は私も気に入っています。隠すと想像しちゃいますよねぇ?それが生きている証拠ですよねぇ(笑)?
ブラッディマリー
2009/09/11 6:54 PM
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